学校プール管理について(塩素管理を中心として)
☆ 学校プール塩素管理
塩素管理はプール水管理の大多数を占めるといっても過言でなく、 この管理の可否がアデノウィルスを中心としたプール病の発生を決める要素となる。
1.プールの構造とシステム
濾過器 滅菌器 薬 品
1 水 ⇒ 珪藻土濾過器 ⇒ 溶解器型滅菌器 ⇒ 無機・有機系薬剤
2 水 ⇒ 砂 濾 過 器 ⇒ 連続薬品注入器 ⇒ 無機・有機系薬剤
3 水 ⇒ カートリッジ型 ⇒ 連続薬品注入器 ⇒ 無機・有機系薬剤
ア.プール消毒剤としての塩素剤の種類
◇ 無機塩素系薬剤
薬 品 名 形状 商品名など
次亜塩素酸ナトリウム 液体
次亜塩素酸カルシウム 錠剤・顆粒 ハイクロンT、ハイクロンG、
トヨクロン、南海クリアー
◇ 有機塩素系薬剤
薬 品 名 形状 商品名など
トリクロロ・イソシアヌール酸 錠剤・顆粒 ペースサン、トップG
ハイライト90、ネオ
クロール
ジクロロロ・イソシアヌール酸 錠剤・顆粒 ネオクロール・ニューS
イ.薬剤の性質
◇ 無機塩素系薬剤
単体で存在するので持続性に欠ける。管理をマメにする必要あり。
(有効な塩素量が低下し易い)
次亜塩素酸ナトリウム・カルシウムは分解によりアルカリ性を示す。
NaClO
+H20⇒NaOH・Ca(OH)2+Cl2+(O)
Ca(ClO)2
◇ 有機塩素系薬剤
結合型で存在するので持続性がある。管理し易い。
(無機系より殺菌力が弱めとなる。)
ジクロロ或いはトリクロロ・イソシアヌール酸は分解により酸性を示す。
ジクロロ或いはトリクロロイソシアヌール酸 + H20
⇒ イソシアヌール酸 十 ClO-
2.管理のポイント
ア.入泳前
A. シャワ、足洗い場で十分汚れを落とす。
(プールに汚れを持ち込まない)
B. 腰洗槽で殺菌する。
イ.入泳中
最低5から10%は注水を行い、できるだけオーバーフローの状態と
する。有機系薬剤を使用している時は、注水を行わないと酸性に傾く
ので特に励行すること。
ウ.残留塩素の測定
入泳前後には残留塩素の測定を必ず行い、残留塩素が低下していると
きは必ず薬剤を入れ、基準値を保持するように努める。無機系薬剤を
使用している時は特に励行すること。
晴天時の紫外線の強いときや水温の上昇時には、思わぬ残留塩素の
低下をきたすことがある。
◆プール管理は塩素管理の他、各種のファクターがある。塩素管理以外で
は、機械の管理やプールサイドの落ち葉や昆虫、児童生徒の体調把握、
清掃、床面その他がある。何れにしても、安全で児童生徒が心に残る楽
しい水泳の授業であって欲しいものである。
◆プールに入水する前、よく指導と注意をして欲しいのは、学校という公
共施設のなかのプールであり、あくまで個人のものではなく、集団の多
人数が教育の一環として使用するのが学校プールであること。そしてこ
れを十分に生徒と親に理解させておく必要がある。
3.その他の管理ポイント
ア.プール入水前の指導
A.極度のアトピー、皮膚疾患、ゼンソクなどには配慮は必要です。
B.ピアス、金属類、水中メガネは危険を伴い、特にガラスは水中で見
えない等もあり、体に付けないこと。
C.日焼け、日焼け防止クリーム等、これはプールの水質保持の観点か
ら、全てのプールで使用禁止されています。学校環境衛生の基準で
も同様に使用禁止です。
イ.遊泳中の注意点
A.生徒達は衣服を脱いだ解放感から、プールあるいはプールサイドで
走る、仲間を落とす等の行動を起こすが、プールにおけるケガの大
半がここで起きている。特にプールサイドはコンクリート等で硬く、
滑る・つまづくことが予想されるので、指導と管理を怠ってはなら
ない。
B.水中への配慮
水中への配慮は大事で、プールが透明度を確保するのは、心停止・
頭部の打撲等で生徒が水中に沈んでいるとき、速やかに発見救助す
る必要がある。指導と併せ注意が必要である。
ウ.周辺施設への点検
施設周辺は、樹木、鳥獣、虫類により影響を受け、プールに多大な
影響を及ぼす。
鳥獣の糞便、ハチや毛虫、病葉や落ち葉、これらの影響を防ぐため、
周辺の点検も忘れてはならない事項である。