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静かな吸血鬼(シラミ・ノミ)      

  江戸時代の俳人松尾芭蕉が、紀行文「奥の細道」を書いたことは誰でもご存じの事と思
います。松島から衣川(岩手)を経て鳴子の奥、尿前(しとまえ)に宿泊したとき俳句を一句
残しております。

「のみしらみ 馬のしとする まくらもと」 

 しらみ(虱)・のみ(蚤)は約1億年前から生息し、人と離れる事なく生き抜いて来ました。
以前NHKのTVで、中央アジアにつながる「シルクロード」を放映しておりましたが、タクラ
マカン砂漠の中の遺跡から、金髪の少女のミイラが発見されましたが、その頭髪と身体に
多くのシラミと虫卵が見いだされました。

 近年、戦後間もない昭和20年代から30年代初頭に大発生し、これを原因とする発疹
チフスにより、かなりの死者が出たこともありました。 また、人ノミはほとんど見られなくな
りましたが、猫ノミなどはまだ見かけるようで、時々薬局に相談があるようです。

 現在、発疹チフス(リケッチア)の発症も見られないが、吸血時、後に強い痒みが生じ、
注意散漫・安眠出来ないなど、児童生徒には影響があります。

シラミの種類(人間に寄生するもの)

1.あたまジラミ  

 主に頭部に住み着き、毛髪に乳白色の虫卵をくっつけるので、確認し易い。 体長は
およそ成虫で1.5から2ミリです。約1週間で卵から幼虫になり吸血し成虫となっていき
ます。

2.ころもジラミ  

 主に体幹や手足に取り付いて生息します。現在は頭ジラミとの交雑が進み、あたまジ
ラミところもジラミの判別がつきにくくなっています。

虫卵、体形もあたまジラミと大きな変わりもなく、成虫までの期間も同様です。

3.毛ジラミ  

 主に陰毛や腺毛部位に生息します。 シラミの種類の中ではカニの様にツメ部位が異常
に発達し、形状は毛ガニをいくぶん縦長にした形です。普段は爪で周囲に体を固定し毛
穴や毛髪部に頭部を入れ、食いついて吸血しています。そのため、掻痒感が強くあり、毛
髪に守られているせいもあって、強い疼みで発見することが多い。 

 虫卵、体型はともに前者のシラミとは大きく形態が異なり、体型は前述のとおりで、虫卵
は、つぶれた楕円形をしており、双方共にあたま、ころものシラミと明かに相違している。 よ
く、あたまジラミを毛ジラミと混同するが、接触による伝搬であることを考えれば、ある意味
で性感染(性病のひとつ)と考えても不思議ではない。

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