平成23年5月22日、京都市の京都会館にて第62回指定都市学校保健協議会が 開催され出席してきました。東日本大震災で被災された方への黙祷から始まりま した。そして会場の皆さんからの義援金を仙台市に送るというお知らせがあり、こ の会に被災地仙台からも出席していただいたという挨拶を聞き、目頭が熱くなりま した。 開会セレモニーの後の記念講演では、京都南禅寺畔 瓢亭(ひょうてい)十四代 当主 高橋英一氏の『京の食文化 私のこだわり』という演題で、老舗の料亭の当 主という立場から見た食文化についてお話しされました。 1.京の伝統文化=食文化 (1)京の文化は、宮中中心の公家文化による特殊な発展をした 京呉服 京焼 京漆 京菓子(色彩豊かに抽象的な形で表現) 京料理(他府県とは異なった特殊な環境の中で発展してきた京料理は「京 都の郷土料理」と言える) (2)京料理の歴史は、四つの基礎から発展、進歩した ア.宮中から → 有職(ゆうそく)料理 イ. 寺院から → 精進料理 ウ. 茶道から → 懐石料理 エ. 町衆から → おばんざい (3)京料理の発展に大きな影響を与えたものは ア. 松前船や北前船などの交易による北海の塩干物の入荷 (棒だら、ニシン、数の子、するめ、貝柱など) イ. 福井県・若狭の浜より運び込まれた一汐物 (甘鯛ぐじ、サバ、カレイ、小鯛など) ウ. 他府県から持ち込まれ、京都の気候風土に適して地元より立派に育つ ようになった京の伝統野菜 (夏:賀茂茄子、鹿ヶ谷南瓜、伏見唐辛子など) (冬:聖護院かぶら、聖護院大根、海老芋、堀川ごぼう、九条葱、京芹など) (4)京料理は旬の食材を大切にして、メリハリのある季節感をまず目で楽しみ、 味を楽しむもてなしの文化、そして料理は日本文化の凝縮、しつらえ、空間、 サービスなど、もてなしの文化は茶の心が大切 ・食器の文化 世界中で様々な素材や種類の食器を使い、器で季節感を楽しむ人種は 日本人だけ(陶器、磁器、漆器、ガラス器、銀器、青竹、籠、木地、曲物、 紙など) ・箸の文化 利休の昔より箸の作法で食事を楽しむのは高い食文化の表れ (利休箸、青竹箸、白竹箸、漆塗、螺鈿、栗、黒文字などの様々な種類の 箸も美意識の文化) ・包丁の文化 他国の包丁は両刃の文化、片刃の包丁文化は日本だけ (柳刃、薄刃、出刃、鱧の骨切り包丁、剥ぎ物包丁、鰻さき[関東型、関 西型]、そば切り、寿司切りなど) (5)私のこだわり だし ・水(京都は軟水だから昆布ダシ、関東は硬水だから鰹ダシ) ・昆布(真昆布、利尻昆布、羅臼昆布、日高昆布などを使い分ける) ・削り節(鰹節、鮪節、鯖節、鰯節など) 生切り→煮熟→焙乾(1番火?10番火で荒節が完成) →カビ付け(3回以上?五番まで) →カビを落として天日干しして本枯れ節が完成 ・その他、だしじゃこ、干椎茸なども使う 味付け ・甘(砂糖、味醂) ・辛(淡口醤油、濃口醤油、塩) ・酢(酢、三種類(レモン、すだち、かぼす、柚)以上の柑橘類の 絞り汁を加えると男性にも喜ばれる) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 課題別協議会では、「くすり教育に対する名古屋市学校薬剤師会の取り組み」を 聞きました。 中学校の教育カリキュラムに「くすり教育」が導入され、平成24年から完全実施す ることになっている。 1.くすり教育に対する取り組み 2.タバコ・アルコール・薬物乱用防止に対する取り組み 3.学校薬剤師の意識調査 この1から3について調査した結果に基づき今後のくすり教育を考えると、 (1)授業の参考スタイル 授業は教諭・学校薬剤師の2名によるチーム・ティーチングを基本とする。授業の 専門である教諭(養護教諭または担任教諭)が授業の導入から進行を担当し、くす りの専門家として学校薬剤師が、その重要な事項(例えば副作用)の説明を行う。 授業(45分)の内容としては、身近な話題を取り入れたり、事前のクイズやトークに よるなぞかけ、パワーポイントを用いた図説の説明、実験の映像などを盛り込み、 全体をまとめるようにしたい。 (2)使用する資料 名古屋市学校薬剤師会では、児童・生徒が正しいくすりの知識や使い方を学べる ようパワーポイントを利用した資料を小学生・中学生それぞれ年齢にあった内容で 作成した。この資料のみならず、現在までに多種多様な資料が存在するのでそれ らを比較検討して現在の中学生にあった最適のものを考えていきたい。 参考:名古屋市学校薬剤師会のホームページ http://nagoya-gakuyaku.chu.jp/ 薬剤師が話す「くすりのお話」には、パワーポイントのデータもあります。 報告 仙台市学校薬剤師会副会長 宮川季士 |